SAPIX新四年生入室テストまでのお勉強(カメさん編)

何を勉強すれば新四年生のSAPIX入室テストに合格できるのか? 長女あっちゃんと次女なっちゃんの2人の入室テストを経験してわかったのは、必勝法はないということ。ただ、基礎は大事ということ。

あっちゃんはゆっくり時間をかけて勉強しないと理解が追いついてこない“カメさん”タイプ、なっちゃんは理解は早いけれどすぐに気の散っちゃう“ウサギさん”タイプ。それぞれ全然違う勉強をしたけれど、共にSAPIX新四年生入室テストに合格することができました。

こちらの記事では、小学校三年生まで学校のお勉強しかしてこなかった“カメさん”のあっちゃんが、2021年11月の入室テストにギリギリのところで合格に至るまでの振り返りと経緯について紹介します。

2021年SAPIX新四年生入室テスト合格点

あっちゃんが受けた2021年11月の新四年生入室テストの合格基準点は145点(300点満点)。あっちゃんはあと1問間違えたら不合格だったというギリギリの得点で合格。ギリギリ合格ということで算数も国語も平均点を大きく下回っていたのですが、結果オーライです。

あっちゃんは小学校三年生の6月まで学校のお勉強以外、勉強らしい勉強は何もしてきませんでした。それでもなんとか合格することができたのです。

入塾時のクラスは下から片手で数えられる低位クラスでした。高いクラスで入塾しないとダメという噂を妻に聞きましたが、入塾できないことには始まりません。そして、入塾してからのあっちゃんのクラス推移を見る限り、入塾してからもSAPIXの勉強に食らいついていけば、そんなことないのでないかと思います。こちらについては、記事を後日書きたいと思います。

算数の入塾試験対策

あっちゃんの受けた新四年生入室テストでは、小学校三年生の算数の教科書より難しい問題は出ませんでした。ただ、三年生の内容をしっかり理解して、しっかり身につけていないと正解できない問題ばかりでした。つまり、基礎が大事ということでした。

基礎が大事という理由は、大問1の計算問題と大問2の基礎的な文章題を正解できれば、それだけで約6割(150点満点)の得点を取れてしまうからです。つまり、基礎的な問題を解ければ、それだけで合格基準点(145点)の約6割を取れてしまうのです。

大問3以降は、基礎問題と応用問題が入り混じった問題が出題されました。大問3以降でも、(1)の難易度は低く、問題によっては(2)も易しいことがあります。入室テスト合格を目標とするのであれば、これら易しめの問題を取りこぼさなければ、確実に合格することができます

しかし、その取りこぼさないということが、実はものすごく大変。実際、あっちゃんはしっかり取りこぼしまくってくれました。取りこぼしても取りこぼしてもそれを補えるだけの勉強の積み上げが、“カメさん”には重要なのでないかと思います。そのために、あっちゃんが入室テストのために勉強した問題集を紹介します。

役に立った算数の問題集

“カメさん”のあっちゃんの勉強に役立った問題集を以下に列挙します。これはあくまで“カメさん”のあっちゃんに役立ったもので、高クラスでの合格を目指すお子さんに向いたものではないと思います。実際、“ウサギさん”のなっちゃんは違う問題集を解いていました。

くもんの小学ドリルシリーズ

小学校三年生の五月まで学校の勉強しかしてこなかったあっちゃんは、まずは小学校三年生までの学校での学習内容を終わらせる必要がありました。それに際して、一番役に立ったのはくもんの小学ドリルシリーズでした。かけ算・わり算の練習にも役立ちました。なお、わり算については、四年生の範囲まで取り組みました。後述するSAPIXのパワーアップトレーニングで、2桁のわり算の問題が出題されていたためです。

一方で、難しい問題集に取り組んでいるお友達がいるという話を妻から聞いていました。もちろん、最レベ等の難しい問題を解ける子であれば難しい問題を解いても良いと思います。しかし、易しい問題すら解けない子に難しい問題を解かせる意味はありません。あっちゃんについては、難しい問題を解けるわけがないと思っていたので、難しい問題集には最初から手をつけませんでした。

あっちゃんにくもんの小学ドリルシリーズから取り組んでもらったことは、結果的に大成功でした。遠回りなようで、 “カメさん”は基礎中の基礎から始めることが大事なのでないかと思います。なお、あっちゃんの解いたくもんの問題集は下記でした。これらに取り組んだ時期は、2021年6月から10月にかけてでした。

  • 3年生 数・りょう・図形
  • 3年生 たし算・ひき算
  • 3年生 かけ算
  • 3年生 わり算
  • 4年生 わり算

くもんの問題集に取り組む目的は、小学三年生までの勉強内容を身につけると同時に基礎的な計算力を磨くことにあったので、全ての問題を解くことにこだわる必要はないと思います。

Z会 グレードアップ問題集 計算・図形

くもんの小学ドリルで基礎を一通り叩き込んだ次に取り組んだのはZ会グレードアップ問題集 小学3年 計算・図形でした。問題数は少ないですが、基礎を身につける上で良問が揃っていると思いました。そのため、この問題集は3回こなしました。1回目はもがき苦しんでいたあっちゃんでしたが、3回目となると概ねスラスラ解けるようになっていました。なお、あっちゃんがこの問題集に取り組んだ時期は、2021年7月から8月にかけてでした。

SAPIXメソッド 算数絶対基礎力の完成 パワーアップトレーニング 3年生

最後に取り組んだのは、SAPIXの校舎でしか販売されていないパワーアップトレーニングでした。SAPIXが算数絶対基礎力の完成と謳っているだけあって、入室テストの大問1・大問2に似通った問題が多い印象でした。ゆえに、入室テストを受けるに当たって、一番役に立ったように思います。

こちらの問題集も3回こなしました。あっちゃんにとっては難易度が高く、3回目でも最後の方の問題は苦労していました。しかし、回を重ねるたびに着実に正解率を上げていきました。なお、あっちゃんがこの問題集に取り組んだ時期は、2021年9月から10月にかけてでした。

本番の入塾テストは、パワーアップトレーニングのような素直な問題と言うよりも、パワーアップトレーニングの問題をやや捻った問題が多い印象でした。そのためか、あっちゃんは入塾テストでたくさん取りこぼしをしてしまいました。

問題集は、多くの種類をこなすよりも、同じ問題集でも良いので、“良い問題”を解けるようになるまで何度もこなすことが大事だと個人的な経験から考えています。

役に立たなかった算数の問題集

“カメさん”のあっちゃんの勉強に役立たなかった問題集を以下に列挙します。役に立った問題集の繰り返しになりますが、これはあくまで“カメさん”に役立たなかっただけで、高クラスでの合格を目指すお子さんには向いているかもしれません。

Z会 グレードアップ問題集 文章題

前述の通り、Z会グレードアップ問題集 小学3年 計算・図形があっちゃんに適した問題集だったので、Z会グレードアップ問題集 小学3年 文章題にも取り組みました。しかし、これは大失敗でした。単純に、あっちゃんには難し過ぎました。

きらめき算数脳 小学2・3年生

低学年よりSAPIXに通塾している知人の親からSAPIXのきらめき算数脳を薦められたことがありました。確かに、入室テストの最後の方にはきらめき算数脳的な問題が出題されるので、役に立つ子には役に立つのかもしれません。しかし、あっちゃんには難し過ぎました。説明しても理解できないし、理解できないあっちゃんに怒り出してしまう私。良いことは何もありませんでした。結果、5-6題解いたところで放り出してしまいました。

難しい問題集を解くよりも、わかっているようでわかっていないことを着実にできるようにすることが大事なのでないかと思います。

きらめき思考力パズルシリーズ

きらめき算数脳とは異なり、きらめき思考力パズルシリーズにはあっちゃんにも解ける問題が多かったです。そして、パズル要素が強いこともあり、あっちゃんは楽しんで取り組んでいました。ただ、あっちゃんとなっちゃんの受けた入塾試験を見る限り、入塾試験と関係がある問題集とは思えませんでした。これらを解くのなら、前述の役に立った問題集を解くことに時間を割いた方が良いと思いました。

入塾試験と直接の関係はないにせよ、何らかの役に立つ可能性はありますし、何より楽しんで解ける問題集ではあったので、時間に余裕があるのなら、取り組んでも良いかもしれません

国語の入塾試験対策

国語の入塾試験で何より圧倒されたのは、とても長い小説の読解問題が出題されたことです。あっちゃんとなっちゃんの受けた2回の新四年生入塾試験の両方で小説の長文読解問題が出題されていたことから、これは毎年のことなのでないかと想像しています。そして、これが読めるかどうか、解けるかどうかは、生まれ持ったものに大きく左右されるのでないかと思うに至っています。そして、残念ながらあっちゃんには生まれ持ったものがありませんでした。

しかし、それでも入室テストに合格することはできます。その理由は、漢字の問題と言葉の知識問題に約3割(150点満点)が配点されているからです。そして、漢字も言葉も、出題されたのは小学一年生から三年生の国語の教科書に出てくる基礎的なものだけです。つまり、国語も基礎をしっかり押さえておけば、合格基準点(145点)の約3割を取ることができてしまうのです。

なお、あっちゃんは大問3の長文読解問題については3割弱しか取れませんでした。これは入塾してから長文を読むことに慣れていくしかありません。

取り組んだ国語の問題集

SAPIXの入室テストで大きな比率を占める長文読解の練習になるような問題集は残念ながら市販されていないように思います。ただ、あっちゃんは、問題文を読んで解答を記す、という行為をすること自体が覚束なかったので、とりあえず土俵に上がるためにも、その訓練をする必要がありました。そういう意味では、何の問題集を解いても役に立ったのかもしれませんが、取り組んだ問題集を以下に挙げておきます。

漢字とことわざについても同様に、これが良かった、というものは特にありませんでしたが、取り組んだものを挙げます。

くもんの小学ドリル 3年生 漢字

漢字については小学三年生のものまでしか出題されないという噂を妻が聞きつけたので、漢字は三年生までのものしか取り組みませんでした。特にどの問題集がおすすめというわけではありませんが、くもんの小学ドリル 3年生 漢字は書くスペースが大きく使いやすそうだったので、あっちゃんにはこのドリルで漢字を覚えてもらいました。

Z会 グレードアップ問題集 小学3年 漢字・言葉

算数のZ会グレードアップ問題集が良かったこともあり、国語でもZ会 グレードアップ問題集 小学3年 漢字・言葉に取り組みました。特に問題を感じませんでした。

Z会 グレードアップ問題集 小学3年 読解

漢字・言葉編と同様、算数のZ会グレードアップ問題集が良かったこともあり、国語でもZ会 グレードアップ問題集 小学3年 読解に取り組みました。文章を読んで、解答を記す訓練が必要だと考えての取り組みだったのですが、その役には立ちました。

入室テストのような長文読解問題があれば良かったのですが、そのような問題集は2021年時点では市販されていませんでした。長文読解問題がなかったという点を除けば、本問題集について問題を感じるところは特にありませんでした。

入室テストまでの勉強時間

SAPIX新四年生入室テストお勉強にあっちゃんが取り組み始めたのは2021年6月でした。それ以降、入塾試験が近づくにつれ、勉強時間が伸びていってしまったのですが、2021年10月までの取り組み状況は概ね以下の通りでした。なお、入室テストは2021年11月3日に実施されました。

  • 2021年6月から夏休みまで: 毎日20:00から21:00頃までの1-1.5時間。
  • 夏休み: イベントのある日以外は10:00から12:00頃と20:00から21:30頃までの3-4時間。
  • 夏休み以降2021年9月まで:
    • 平日: 20:00から22:00頃までの2時間。
    • 休日: 10:00から12:00頃と20:00から22:00頃までの4時間。
  • 2021年10月:
    • 平日: 16:00から18:00と20:00から22:00頃までの4時間。
    • 休日: 10:00から12:00と20:00から22:00頃までの4時間。

私や妻が横についていないとあっちゃんは勉強ができません。したがって、親がいつもあっちゃんの横について励ましていました。このように文字化すると、恐ろしい時間、勉強をしてもらったことになってしまっており、我ながら驚いてしまいます。しかし、これだけやらなかったら、あっちゃんは入塾試験に合格できなかったのでないかと今でも思います。

ここまでしてSAPIXに入塾させる必要があるのか? そして中学受験をしてもらう必要があるのか? 親はよく考えないといけないと改めて思わさせられます。

この生活を続けられたのは、あっちゃんの性格も大きかったように思います。いつも前向きで、嫌なことをすぐ忘れる。頭の中はお花畑のようで、泣かせてしまってもちょっとした気分転換ですぐに「わたしがんばる〜♪」となってくれる子です。振り返ると、親としてはその笑顔に救われたと思うと同時に、申し訳なかった気持ちでいっぱいなります。

入室テストまでの模擬試験

入室テストに向けての勉強を2021年6月に始めることになったきっかけは、あっちゃんが2021年6月の全国統一小学生テストの成績が悪かったことでした。根拠はありませんが、全国統一小学生テストで偏差値50以上の成績を取れる子でないとSAPIXの入室テストで合格することは難しいと思います。そして、全国統一小学生テストでのあっちゃんの成績は、なんと偏差値30台でした。

そこから勉強の日々が始まりました。しかし、塾に通っていないと、勉強してもあっちゃんの成績が上がっているのかどうかわかりません。つまり、SAPIX入室テスト合格に向けて、正しい方向に進んでいるのかどうかわからないのです。そのため、あっちゃんには申し訳なかったのですが、大手進学塾の行う模擬試験を一定の頻度で受けてもらって、成績の変化をフォローするようにしました。

また、効果があったか謎ですが、模擬試験では、SAPIXの国語の長文読解問題ほど長い文章ではありませんが、長い文章題が出題されます。そのため、模擬試験を受けると、長文読解に慣れることはないにせよ、長文読解への拒否反応は減らせるかもしれません。

なお、あっちゃんがSAPIX新四年生入室テストまでに受験した模擬試験は以下でした。

四谷大塚 | 全国統一小学生テスト (6月)

全国統一小学生テストは、四谷大塚が毎年2回(6月と11月)実施する無料の学力試験。SAPIX入塾に向け、あっちゃんの学力の相対的位置付けを把握するため、2021年6月に受験してもらいました。そして、この試験での偏差値30台の成績に焦りを覚え、あっちゃんは入塾試験勉強を始めることになりました。勉強を早く始めないと手遅れになることを気付かせてくれた、という点で受験してとても良かったと親の立場では思っています。

11月の全国統一小学生テストは受験していません。11月については受験する理由がなかったためです。SAPIX入塾に向け、勉強ばかりさせた親の言葉に説得力はありませんが、せっかくのお休み、子供に必要のない試験を受けさせるくらいなら、一緒に遊んで過ごした方が良いと思います。

早稲田アカデミー | サマーチャレンジテスト (8月)

サマーチャレンジテストは、早稲田アカデミーが毎年夏(8月)に実施する無料の学力試験。あっちゃんの夏休みまでの勉強の成果を測るために2021年8月に受験してもらいました。

2ヶ月弱の“猛勉強”の結果、あっちゃんの成績は偏差値50弱にまで上昇。受験を目指す小学生の最下層から脱出できたことを確認でき、親としてはホッとしました。同時に、基礎をしっかり固める方向感に間違いはないという手応えも得られました。

サマーチャレンジテスト受験後、早稲田アカデミーより入塾を勧める営業電話が頻繁に掛かってくるようになりました。新四年生集客という早稲田アカデミーの営業上の理由で試験が無料となっているのでしょうから、仕方ありません。これが嫌であれば、本試験の受験は回避した方が良いでしょう。

SAPIX | 実力診断サピックスオープン (10月)

実力診断サピックスオープンは、文字通りSAPIXが毎年10月に実施する受験料3,300円(2021年時点)の学力試験。SAPIX内部生と比べた時のあっちゃんの位置付けを確認するために2021年10月に受験してもらいました。なお、本試験は三年生冬からの入室テスト機能も兼ねています。

受験結果は、偏差値40弱。11月の入室テスト合格に手が届くところまで来ていることがわかりました。ただ、受験して思ったのは、あっちゃんのような“カメさん”にとって本試験は受験不要ということでした。

受験不要と思ったのは、あっちゃんにとっては試験が難し過ぎたためです。解ける問題がほとんどない試験の中で数少ない解ける問題を見つけ出し、解答を書いてこれるようになったあっちゃんの成長は嬉しかったです。ただ、どうでも良い親の喜びのために、あっちゃんのお休みを試験で潰してしまったことの方が申し訳なかったです。

本稿執筆時点では、SAPIX生徒の平均学力は他の進学塾の生徒の平均学力よりも高いため、一般にSAPIX試験の偏差値は他塾試験の偏差値よりも低く出ます。

まとめ

あっちゃんがSAPIX新四年生入塾試験に合格に至るまでの振り返りと経緯ついて紹介しました。

算数も国語も必勝法はないけれど、基礎をしっかり押さえれば、誰にでも合格するチャンスはあります

今回は“カメさん”の長女あっちゃんのSAPIX入塾試験への取り組みを紹介しましたが、次回は“ウサギさん”の次女なっちゃんの取り組みを紹介する予定です。もし良かったら、そちらもご覧ください。

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ABOUT US
スプリコット
大好きな2人の娘“あっちゃん”と“なっちゃん”と中学受験に挑もうとしている東大卒パパです。娘たちは二人とも、小学校四年生からSAPIXに通い始めることになりました。SAPIXに入塾してからは、親子共々、毎日苦労の連続です。この苦労は、ひょっとしたら同じような境遇の方々の役に立つのでないかと信じて、日々の出来事を書いていこうと思います。