SAPIX新四年生入室テストまでのお勉強(ウサギさん編)

SAPIXに新四年生から入室するのは難しいと言われています。しかし、長女あっちゃんと次女なっちゃんの2人の入室テストを経験してわかったのは、必勝法はないということ。ただ、対策すれば新四年生から入室することはできるということ。

今回は、理解は早いけれどすぐに気の散っちゃう“ウサギさん”タイプのなっちゃんがSAPIX新四年生入室テストに合格するまでのお話です。

なっちゃんもあっちゃんと同じく、小学校二年生までは学校の勉強以外は特段の勉強をしてきませんでした。しかし、あっちゃんが入室テストでとても苦労したこともあった(カメさん編)ので、なっちゃんの番では十二分に入室テスト対策をしました。

では、“ウサギさん”のなっちゃんは何を勉強したのか? 2022年11月の入室テストまでの振り返りと経緯について紹介します。

2022年SAPIX新四年生入室テスト合格点

なっちゃんが受けた2022年11月の新四年生入室テストの入室基準点は140点(300点満点)。なっちゃんは“ウサギさん”だからなのか、比較的余裕で合格。あっちゃんで苦労した(カメさん編)のが嘘のようでした。

とは言え、なっちゃんの入室時のクラスは、αに届くほどではありません。単に、あっちゃんのようにギリギリラインでの合格ではなかったというだけ。

あっちゃんの時の合格点は145点、なっちゃんの時の合格点は140点。二回の受験経験に過ぎませんが、約5割の得点をできれば合格できるのだと思います。

算数の入塾試験対策

なっちゃんの受けた新四年生入室テストもあっちゃんの時と同じで、小学校三年生の算数の教科書をしっかり理解できていれば解けない問題はありませんでした。やはり、SAPIXに入塾するために大事なのは基礎をしっかり押さえることなのだと改めて思いました。

なぜなら、大問1の計算問題と大問2の基礎的な文章題を正解できれば、それだけで90点(150点満点)取れてしまうからです。つまり、入室基準点(140点)の約6割です。

大問3以降もあっちゃんの時と同じく、長めの文章題。(1)は易しいけれど、(2)以降はやや複雑。したがって、大問3以降は(1)を解いてきてほしい。(1)を全て解ければ、大問1と大問2と合わせて、100点を超える得点が取れます。

算数については、この約100点の内、取りこぼしをどれだけ減らせるか、というのが入室テストの全てなのでないかと我が子を見て思います。つまり、これらの易しめの基礎問題を取りこぼさなければ、確実に合格することができるということです。

“ウサギ”さんのなっちゃんは問題の飲み込みが早く、大問3以降の(1)を正解してきてくれました。一方、“カメさん”のあっちゃんは問題を理解できず、大問3以降は全滅。これが比較的余裕で合格するか、ギリギリで合格するかの違いになりました。

取り組んだ算数の問題集

“ウサギ”さんのなっちゃんは“カメさん”のあっちゃんと比べると問題を解くのが圧倒的に早い。勉強を始めた時期も早い。そして、二回目の受験だったこともあり、親が基礎を押さえるのに役立つ問題集を理解していた。これらの要素が重なったため、なっちゃんは難しめの問題集にも取り組みました。

くもんの小学ドリルシリーズ

なっちゃんは小学校二年生の12月まで学校の勉強しかしてこなかったので、まずは小学校三年生の学習内容と2桁のわり算(小学校四年生の学習内容)までを終わらせる必要があります。そこで役立ったのがくもんの小学ドリルシリーズ。これで基礎中の基礎が固まります

なっちゃんの取り組んだくもんの問題集は、あっちゃんの時と全く同じですが、下記です。取り組んだ時期は、2022年1月から2月にかけてでした。

  • 3年生 数・りょう・図形
  • 3年生 たし算・ひき算
  • 3年生 かけ算
  • 3年生 わり算
  • 4年生 わり算

くもんの問題集に取り組む目的は、小学校三年生までの学習内容を身につけると同時に基礎的な計算力を磨くことにあります。したがって、全ての問題を解くことにこだわる必要はないと思います。

Z会 グレードアップ問題集 計算・図形

あっちゃんの時と同じで、くもんの小学ドリルシリーズで基礎を叩き込んだ後はZ会グレードアップ問題集 小学3年 計算・図形に取り組みました。問題数は少ないですが、基礎を身につける上で良問が揃っていると思います。なっちゃんはこの問題集を、2022年3月から4月にかけて2回こなしました。

あっちゃんと同じく、なっちゃんにもこの問題集を3回こなしてもらおうと思っていたのですが、“ウサギさん”のなっちゃんは二回目の出来が比較的良く、本人がZ会の問題集に「飽きた」と三回解くことを嫌がったので、別の問題集に取り組んでもらうことにしました。

問題集は、多くの種類をこなすよりも、同じ問題集でも良いので、“良い問題”を解けるようになるまで何度もこなすことが大事だと個人的な経験から考えています。

最レベ さんすう問題集 小学3年

Z会グレードアップ問題集を解けていたので、難易度を少し上げようと思いました。しかし、本屋で見比べたところ、最レベやスーパーエリートといった、いわゆる“難しい”問題集しか私には見つけられませんでした。そのため、なっちゃんが泣くの覚悟で最レベに取り組んでもらうことにしました。

しかし、意外や意外、最初は難易度の高さにうろたえたなっちゃんでしたが、飲み込みの早い“ウサギさん”だからか意外と嫌がりません。

基礎の習得に苦しむあっちゃんとは全く違う展開に親としては戸惑います。しかし、本人のモチベーションの下がらない勉強に取り組むのが一番。勉強を早く始めた分、時間的余裕もあったので、基礎的な問題集に「飽きた」なっちゃんには、2022年4月から7月にかけて最レベに3回取り組んでもらいました。

SAPIXメソッド 算数絶対基礎力の完成 パワーアップトレーニング 3年生

入室テストの大問1と大問2に似通った問題だけで構成されている問題集です。SAPIXの校舎でしか販売されていないので、入手が面倒くさいです。

ただ、あっちゃんの入室テスト対策では最も役に立った問題集でした。そのため、最レベと比べると難易度は格段に落ちますが、なっちゃんにも取り組んでもらいました。

最レベを3回こなしただけあって、なっちゃんはパワーアップトレーニングは苦なく解き、すぐに「飽き」てしまいました。ただ、最重要問題集と考えていたので、なっちゃんにはこの問題集を2022年8月から9月かけて2回こなしてもらいました。

スーパーエリート問題集 算数 小学3年

パワーアップトレーニングもこなしたところで次に何をすべきか親のアイディアが尽きてしまいました。そこで、最レベをある程度解けるようになっていたので、いわゆる“難しい”問題集のもう一つ、スーパーエリート問題集も解いてもらうことにしました。

しかし、こちらは失敗でした。最レベとスーパーエリートは同じ“難しい”でも、種類が違うと思いました。すなわち、最レベの問題は三年生までの基礎を応用すれば解ける問題でした。一方、スーパーエリートは四年生以降の知識を先取りしないと解けない問題が多かったです。

SAPIXの入室テストには三年生までの学習内容までしか出題されません。四年生以降の難しい問題を先取りするスーパーエリートは、SAPIX入室テスト対策には適していないと思います。基礎すら学んでいない内容の難しい問題に取り組んでも、意味がありません。

そのため、スーパーエリートを解き進めてもなっちゃんの合格確率が上がるとは思えなかったため、少し解いたところですぐに止めてしまいました。四年生以降の学習内容は、SAPIXに入室してから取り組めば良いのです。

国語の入塾試験対策

あっちゃんが受験した際に圧倒された超長文読解問題、これがなっちゃんの入室テストでも同じように出題されました。カメさん編でも記しましたが、これを三年生時点で読めるかどうか、解けるかどうかは、生まれ持ったものに大きく左右されるのでないかと思います。

しかし、心配する必要はありません。長文読解問題が解けなくても入室テストに合格することはできます。漢字の問題と言葉の問題に、約3割が配点されている(150点満点)からです。長文読解問題は、SAPIX入室後に解けるようになれば良いのです。

漢字も言葉も、出題されるのは小学校一年生から三年生までの国語の教科書に出てくる基礎的なものだけ。つまり、国語も基礎をしっかり押さえておけば、入室基準点(140点)の約3割を取れてしまうのです。

取り組んだ国語の問題集

あっちゃんとなっちゃんが受験した二回の国語の新四年生入室テストでは、超長文読解に約7割が配点されていました。これの対策、つまり超長文を読み、問題に回答する練習をできればベストなのでないかと思います。しかし、そのような問題集は市販されていないように思います。

また、文章を読むことが嫌な子もいるのでないかと思います。なっちゃんは、読解問題の練習を始めてからしばらくは、親の目を盗んで文章を読まずに回答を記していました。国語が“苦手”な理由はここにありました。読まないのだから解けるわけがありません。

国語については、漢字と言葉を押さえつつ、文章を読んで問題を解く、という訓練をなっちゃんにはしてもらいました。それがなっちゃんの入室テスト合格に繋がったのでないかと思います。

くもんの小学ドリル 3年生 漢字

あっちゃんの入室テスト対策がうまくいったので、なっちゃんについてもあっちゃんと同様、三年生までの漢字しか覚えてもらいませんでした。どの問題集でも良いと思うのですが、くもんの小学ドリル 3年生 漢字は書くスペースが大きいので、使いやすいのでないかと思います。

Z会 グレードアップ問題集 小学3年 漢字・言葉

あっちゃんが解いて、特に問題がなかったので、なっちゃんにも取り組んでもらいました。言葉や漢字は、何でも良いので早めに始めること、そして覚えるまで繰り返すことが大事なのでないかと思います。

Z会 グレードアップ問題集 小学3年 読解

こちらもあっちゃんの入室テスト対策を踏襲して取り組んでもらいました。読解問題練習も、取り組むのはどの問題集でも良いのでないかと思います。まず重要なのは、読解問題に慣れてもらうことなのでないかと思います。

なお、この問題集に取り組む中で、なっちゃんがまさかの文章を読まずに読解問題に回答している問題が発覚しました。

最レベ 国語問題集 小学3年

国語は、文章を読まないと解けないものだという現実を受け入れると、意外と問題を解けるようになってしまう“ウサギさん”のなっちゃん。算数の最レベに取り組んでいたこともあり、国語でも最レベに取り組んでもらいました。

ただ、“カメさん”のあっちゃんは最レベを解かなくてもSAPIXに合格できたので、この問題集には取り組む必要はありません。なっちゃんは要領の良い“ウサギさん”で、時間に余裕があったので取り組んだに過ぎません。

“カメさん”は“ウサギさん”のように速く走ることはできません。“カメさん”に背伸びさせても届かないものは届かないのです。しかし、焦る必要はありません。“カメさん”は中学受験までに“ウサギさん”に追いつけば良いのです。まだ三年生。時間は十分にあります。 

入室テストまでの勉強期間

SAPIX新四年生入室テストの勉強になっちゃんが取り組み始めたのは2022年1月でした。あっちゃんが6月に勉強を始めてギリギリの合格だったので、なっちゃんには早めに勉強を始めてもらいました。

毎日の勉強時間は、夏休みを除くと1時間から1.5時間、夏休みは約3時間でした。

勉強を開始した当初、あっちゃんとなっちゃんとで“カメさん”“ウサギさん”と特徴が大きく異なるとは思いませんでした。振り返ると、“カメさん”のあっちゃんはもっと早く、“ウサギさん”のなっちゃんはもっと遅くから勉強を開始すれば良かったと思います。

しかし、最初からそれがわかっていれば苦労しません。わからないからこそ、いつ始めれば良いのか悩むのです。二回の受験経験を経て私が言えるのは、11月のSAPIX入室テストには、“カメさん”でも“ウサギさん”でも6月から勉強開始すれば、親の努力次第で合格できるということです。

なっちゃんもあっちゃんと同じく、親が横についていないと勉強できません。したがって、我が家では毎晩夕飯後から、家族4人で食卓勉強大会です。子供が勉強で大変でも、親が付き合えば頑張ってくれます。子供と一緒に親も汗をかかないと、成績は伸びるようにならないのでないかと思います。

入室テストまでの模擬試験

大手進学塾の行う模擬試験を受験すると、子供の学力の相対的な位置付けがわかります。また、SAPIXの国語の長文読解問題ほど長い文章ではないにせよ、模擬試験では長い文章題が出題されるので、数少ない長文読解の練習にもなります。

勉強の成果の確認と国語の長文読解の練習という意味で、模擬試験は適宜受験すると良いのでないかと思います。

あっちゃんとなっちゃんの二人の入室テストを経験した印象に過ぎませんが、SAPIXの入室テストに合格するためには、大手進学塾の模擬試験で偏差値50以上の成績が必要だと思います。ただ、焦る必要はありません。勉強を始めたばかりの頃は、偏差値50を割るのは仕方ありません。

大手進学塾の模擬試験受験生は、小学校三年生以前より塾で勉強してきたお子さんがほとんどです。その子達を上回る好成績を最初から取れるはずがありません。むしろ、悪くて当然です。入室テストのある11月までに偏差値50に到達できれば良いのです。そのための勉強法を前述してきました。

なっちゃんには、2022年1月よりSAPIX新四年生入室テスト対策を始めました。その成果を確認するため、2022年6月に四谷大塚の全国統一小学生テストを受験してもらいました。あっちゃんの時と異なり、なっちゃんはそこで早くも偏差値50台の成績を取ってしまいました。

そのため、なっちゃんの時は模擬試験を受けるよりも遊びを優先して、積極的には受験しませんでした。ただ、念のため、なっちゃんが受験した模擬試験を以下に列挙します。

四谷大塚 | 全国統一小学生テスト (6月)

全国統一小学生テストは、四谷大塚が毎年2回(6月と11月)実施する無料の学力試験。SAPIX入塾に向け、なっちゃんの学力の相対的位置付けを把握するため、2022年6月に受験してもらいました。この試験でなっちゃんは偏差値50台の成績を取れたため、親としては比較的安心しました。

それと同時に、なっちゃんの勉強を始めるタイミングは早過ぎたかもしれないと申し訳ない気持ちになりました。

日能研 | 日能研全国テスト (6月)

日能研全国テストは、日能研が年に数回実施する無料の学力試験。コロナ期間中は自宅受験可能な試験でした。そのため、なっちゃんが問題集に「飽きた」時に備えて、毛色の変わった教材として試験問題を取り寄せました。そして、「飽きた」時に“受験”してもらいました。

国語の長文読解練習という点では、数少ない訓練になったのでないかと思います。一方、算数は、SAPIXとは出題傾向がかなり異なるので、SAPIX入室テスト対策という点では役に立ちませんでした。

自宅受験では偏差値を算出してもらえません。わかるのは平均点だけです。なお、2023年以降も自宅受験できるのかわからないので、ご確認いただければと思います。

SAPIX | 実力診断サピックスオープン (10月)

実力診断サピックスオープンは、文字通りSAPIXが毎年10月に実施する受験料3,300円(2022年時点)の学力試験。SAPIX内部生と比べた時のなっちゃんの位置付けを確認するために2022年10月に受験してもらいました。なお、本試験は三年生冬からの入室テスト機能も兼ねています。

なっちゃんの受験結果は、偏差値50弱。偏差値40程度が入室テストの合否ラインと思われます。そのため、運が悪くなければなっちゃんは入室テストにまず合格できるだろうことが確認できました。

ただ、実力診断サピックスオープンで出題される問題のほとんどは応用問題でした。つまり、入室テストとは異質の試験です。そのため、受験する必要性は低いです。

本稿執筆時点では、SAPIX生徒の平均学力は他の進学塾の生徒の平均学力よりも高いため、一般にSAPIX試験の偏差値は他塾試験の偏差値よりも低く出ます。

まとめ

なっちゃんがSAPIX新四年生入塾試験に合格に至るまでの振り返りと経緯ついて紹介しました。

なっちゃんは飲み込みの早い“ウサギさん”なのに、早いタイミングで勉強を始めてしまいました。結果として、時間に余裕ができてしまったので、取り組む必要のない難しい問題集まで取り組むことになりました。

そこで分かったのは、SAPIX入室テストの合格に最レベやスーパーエリート等の難しい問題集は不要であること。そして、大事なのはやはり基礎であること。

そして、“ウサギさん”のなっちゃんと“カメさん”のあっちゃん、全然タイプの異なる二人の子を抱えて思うのは、それぞれに合った勉強をしてもらうのが一番であるということ。

“ウサギさん”には、休まないように刺激を与え続けなければなりません。“カメさん”には、無理に背伸びさせないようにしなければなりません。それぞれの性格に寄り添っていくことが大事なのでないかと思います。

あっちゃんとなっちゃん、生まれ持った才能が全然違うのか、単に“ウサギさん”と“カメさん”の違いで成績の伸びる時期に違いがあるのか、今の時点ではわかりません。

親としては、“ウサギさん”は“カメさん”に追いつかれないと信じて、“カメさん”は“ウサギさん”に中学受験までに追いつけると信じて、子供達と一緒に汗を流すのみです。

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ABOUT US
スプリコット
大好きな2人の娘“あっちゃん”と“なっちゃん”と中学受験に挑もうとしている東大卒パパです。娘たちは二人とも、小学校四年生からSAPIXに通い始めることになりました。SAPIXに入塾してからは、親子共々、毎日苦労の連続です。この苦労は、ひょっとしたら同じような境遇の方々の役に立つのでないかと信じて、日々の出来事を書いていこうと思います。