SAPIX新四年生入塾後の勉強量

SAPIX新四年生として入室してまず最初に悩むのは、何をどこまで“家庭学習”すれば良いのかでないかと思います。この記事では、ゆっくり時間をかけて勉強しないと理解が追いついてこない“カメさん”の長女あっちゃんがSAPIXに入塾してからどのように“家庭学習”に取り組み、どのように成績を伸ばしたかを紹介します。

また、新四年生で入塾してからしばらくの間は、精神的に辛い日々でもありました。その時の気持ちの振り返りについても記します。

“家庭学習”の勉強量

SAPIXに新四年生で入室してからまず驚くのは、求められる圧倒的な勉強時間だと思います。どうにか効率化する方法はないのか?あっちゃんをこんなに苦しめないといけないのか?と思ったものです。結論は、効率化する方法はないということです。

SAPIXに新四年生として入塾するということは、四年生から早くも“受験勉強”が始まるのだと思うしかありません。助走期間なんてありません。最初から全力疾走です。SAPIXのペースについていくために、あっちゃんは毎晩遅くまで勉強しないといけませんでした。

解けない問題は解けるようになるまで時間をかける。そこに効率なんてありません。何度も頭をぶつけて、体で覚えるしかないのだと思います。それを積み重ねつつ、SAPIXのペースについていけば、3年後の中学受験で嬉しい結果がついてくるのだと信じるしかありません。

あっちゃんは毎週、算数に約12時間、国語に約5時間、理科に約9時間、社会に約3時間、合計約30時間をSAPIXの“家庭学習”に費やしてきました。長過ぎると思う一方、これだけやっても“カメさん”のあっちゃんの成績はSAPIX生の平均並みに到達したに過ぎません。

なお、2023年5月時点で四年生になったばかりの要領の良い“ウサギさん”の次女なっちゃんは、あっちゃんの“家庭学習”と同じ勉強量をこなしていますが、勉強時間はあっちゃんより2-3割少ないです。勉強時間は、それぞれの子の要領の良さに依存するところが大きいように思います。

では、あっちゃんが四年生のとき、各科目どのような“家庭学習”をしていたかを紹介します。

算数

  • SAPIX授業後: デイリーチェックと基礎力定着テストの間違えた問題の解き直し。勉強時間は30分強。
  • SAPIX授業翌日: 教科書Aは★と★★の問題全て、教科書Bはステップより前の★と★★の問題全てを親と一緒に解いていました。学校から帰宅後、夕方から始めてもらい、夕飯を挟んで22:00までの3-5時間は勉強。
  • 土曜日: 教科書Aの計算力コンクールと教科書Bのステップの★と★★の問題を親と一緒に解いていました。勉強時間は約2時間。
  • 日曜日: AとBの教科書を親と一緒に一周解いただけでは、あっちゃんは絶対に一人で解けるようになっていません。解けなかった問題を中心に、教科書Aと教科書Bの解き直しに3-4時間取り組んでもらいました。
  • 基礎力トレーニング: 毎日解いていました。上述で基礎力がある程度ついているのか、一日10-20分で終わっていました。これに取り組むのは必須です。

理科

  • 土曜日: 午前中に教科書を読み始め、親と一緒に問題を最後まで解いていました。所要時間は4-5時間。
  • 日曜日以降: 大問1-6までの解き直しをしていました。単元によって所要時間は異なりましたが、1-2時間を費やしていました。
  • デイリーステップ: 1学期までは毎日1つずつ解くようにしていましたが、夏休みは一日で全部片付ける必要がありました。それもあって夏休み以降は、一日で一気に終わらせるようになりました。

国語

  • SAPIX授業後: あっちゃんは長文を読むことに慣れていませんでした。少しでも長文を読むことに慣れてもらおうと、SAPIXから帰宅後、教科書Bを音読してもらいました。
  • SAPIX授業翌日: 教科書Bの問題を親と一緒に解いていました。入塾直後は記述問題で文章を記すことに苦しむあっちゃんでしたが、1-2カ月も経つと、正誤はともかく、回答を記すことはできるようになりました。所要時間は約3時間。
  • 日曜日以降: 教科書Aの問題を親と一緒に解いたり、漢字や言葉を覚えてもらったりしていました。

社会

  • SAPIX授業翌日: 学校から帰宅後、夕方より親と一緒に教科書を読んでもらい、夕飯までに問題まで解き終わらせていました。所要時間は2-3時間。
  • 授業前: 先週の授業内容の復習をしていました。所要時間は約30分。

成績を伸ばしやすい科目は理科・社会

子供の好みも絡むかもしれないので一概にはなんとも言えませんが、あっちゃんの経験からすると、理科と社会の成績は伸ばしやすいと思います。

クラス分けテストの算数・国語の配点150点と比べると、理科・社会の配点は100点に過ぎません。しかし、あっちゃんのクラス上昇の原動力は明らかに理科と社会でした。

その理由は以下の3つにあるのでないかと考えています。

  1. 理科・社会は勉強すれば勉強した分だけ正解できる: 理科・社会は覚えることだらけ。この2科目は、記憶量が重要です。記憶量は勉強時間にある程度比例するので、勉強すればその分だけ正解数を増やせます。逆に、勉強しないといつまで経っても正解数は増えません。
  2. SAPIX内部生も三年生まで理科・社会は真剣に勉強していない: 三年生までのSAPIXのクラス分けテストは算数・国語の2教科で行われているそうです。したがって、SAPIX内部生の大半は、四年生まで理科・社会を真剣に勉強してこなかったと思われます。
  3. 理科・社会は後回しにする子が多い: 前述の通り、理科・社会のクラス分けテストの配点は少ないです。そのため、配点の大きい算数・国語に対して後回しにされがちなのでないかと思います。結果として、理科・社会に注力すると、差をつけやすいと思います。

あっちゃんの勉強も、算数・国語偏重ではありました。しかし、理科・社会も毎週着実に知識を積み上げることはしていました。結果として、他のSAPIX生に対して差をつけられる科目になりました。配点が少ないとは言え、理科・社会は意外とバカにできません。

算数・国語は理科・社会の反対になります。算数・国語はみんな真面目に取り組むので、努力だけで差をつけるのは難しいと思います。また、四年生という時点では、努力だけで生まれ持ったモノの差を打ち返すことはできないのでないかと“カメさん”のあっちゃんと“ウサギさん”のなっちゃんを見て思います。

重要なのは、SAPIXでクラスを上げることではありません。中学受験に成功することだと考えています。ただ、クラスが上がると子供のモチベーションも上がります。結果的に、子供が気持ち良く勉強することにつながるので、成績を相対的に伸ばしやすい科目を紹介しました。

新四年生入塾後の辛い日々

あっちゃんのSAPIXでの四年生の様子を振り返ると、精神的負担の大きさが時間と共に変化していきました。一番辛かったのは四年生の1学期。その後、夏季講習→ 2学期→冬季講習→ 3学期と時を経るにつれ、負担が軽くなっていったように思います。その理由について振り返ります。

一番辛かった5月マンスリーテストまで

SAPIX入室テストに向け、当時小学校三年生のあっちゃんには莫大な量の勉強をしてもらったと親は思っていました。そして、SAPIXに入室すれば、勉強量を減らせるのでないかと親子共々思っていました。

しかし、現実はそれほど甘くありませんでした。親子共々覚悟しておかないといけなかったのは、SAPIX新四年生は受験勉強モードで臨まなければならないということでした。SAPIXの授業についていくためには、これまでの勉強以上の勉強をする必要がありました。

最初は、四年生の内からこんなに勉強する必要があるのか?と覚悟できていませんでした。それに加え、入塾直後は教わることが新しいことだらけ。新しいこと続出は、理解するまで時間のかかる“カメさん”にはただでさえ辛い。気持ちがついてきていないので、辛いのはなおさら。

辛い気持ちになる理由がさらにもう一つ。それは、入塾直後の3月の組分けテスト。この試験の出題範囲は、ほとんど全てが三年生までの学習内容でした。つまり、入塾してからの勉強の成果を発揮できません。「こんなに勉強したのに…」ですが、あっちゃんのクラスが上がることはありませんでした。

急激に増えた勉強量。そして、勉強しても勉強しても上がらないクラス。SAPIXに入塾した2月以降の3カ月間は精神的にとても苦しい日々でした。しかし、勉強を続けなければなりません。“家庭学習”を続けていれば、5月のマンスリーテスト以降で報われるからです。

あっちゃんは5月のマンスリーテストで初めてクラスを上げることができました。たった3カ月の努力に過ぎません。しかし、あっちゃんにとっては生まれて初めての“長期間”の努力であり、それが結実したのです。あっちゃんは生きてきた10年間の中で一番喜びを爆発させていました。

この小さな成功体験が大事なのでないかと思います。クラスが上がったあっちゃんは、さらなるクラス上昇を目指し、勉強により一生懸命取り組んでくれるようになりました。

5月のマンスリーテストで努力が報われる理由は明らかです。試験の出題範囲が四年生の学習内容だけになるためです。つまり、新四年生として入塾してからの学習内容だけ、SAPIX内部生に対して初めてハンデを背負わないで勝負ができるためです。

入塾してから3ヶ月間、勉強に苦しむ子供を楽にさせるかどうか、親としても悩ましい日々でした。経験して思ったのは、しっかり“家庭学習”すれば、時間はかかるけれど、結果はついてくるということ。親は焦らず、子供の辛い気持ちに寄り添うのが一番なのでないかと思います。

辛い状態が続いた夏期講習まで

5月のマンスリーテスト以降、クラスが上がっていったのは良かったのですが、新しい学習内容続出なのは相変わらず。そのため、日々の勉強にあっちゃんがもがき苦しむのも相変わらず。勉強時間が長いのも相変わらず。親がそれに付き合うのも相変わらず。

クラスは着実に上げていくことはできていたのですが、いつまでこの生活が続くのか?四年生の段階で早くも親子共々持たないのでないか?と夏期講習までは心配な状態が続きました。

今となって振り返ると、辛いのは夏期講習まででした。1学期の間は辛抱して毎週の学習内容をコツコツ“自宅学習”していくのみだと思います。

気持ちが少し楽になった夏期講習

週2日の学習内容についていくだけでもあっちゃんは塗炭の苦しみなのに、10日以上なんて無理なのでないか?と思っていた夏期講習。意外にも、思っていたほど辛くはありませんでした。

思っていたほど辛くなかった理由。それは、夏期講習の学習内容の大きな分量を占めていたのは1学期の復習的な内容だったためです。SAPIXに入室してから初めての初物でない学習内容。難しい問題は相変わらずダメでしたが、簡単な問題であればあっちゃんでも初見で解けていました。

それだけで、我が家の時間的・精神的負担は大きく減りました

そして、夏期講習では毎日新しいテキストが配布されました。つまり、テキストが配布された日にそのテキストを片付けないと、終わっていないテキストがどんどん溜まっていきます。そのため、次の授業の前までに配布されたテキストは終わらせるようにしていました。

これを10日も続けると、あっちゃんは、配布されたテキストはすぐに片付けるのが当然、と良い意味で勘違いしてくれるようになっていました。そして、その勘違いが習慣となり、2学期以降は“家庭学習”が比較的スムーズに進むようになりました

SAPIXのペースに馴染み出した2学期以降

夏期講習と同様、2学期以降も学習内容の約半分は復習的な内容になりました。そして、あっちゃん自身も夏休みに猛烈な“自宅学習”を経験して一皮むけたのか、SAPIXのペースに順応したように思います。

それに合わせて、成績も着実に伸びていき、四年生末にはついに偏差値50を超えるところまでやってきました。

まとめ

ゆっくり時間をかけて勉強しないと理解が追いついてこない“カメさん”の長女あっちゃんのSAPIX新四年生入塾後の“家庭学習”の様子と親の気持ちの葛藤について紹介させていただきました。

入塾直後は勉強時間が急増すると思います。最初はそれに困惑するかもしれませんが、受験勉強モードに気持ちを切り替えるしかありません。歯を食いしばってSAPIXについていくと、遅かれ早かれ慣れます。我が家では、夏休み頃から辛い気持ちが一巡していきました。

この苦しい時期を乗り越える励みになるのは勉強の成果が目に見えること。つまり、SAPIXのクラスが上がることなのでないかと思います。そのためには、理科・社会が成果を出しやすいことも紹介させていただきました。

四年生終盤には偏差値も50を越えるようになっていたあっちゃんでしたが、五年生になった今、また辛い時期を迎えております。良い時期と辛い時期は交互にやってくるのだろうか?とまた日々悩みながら過ごしております。おそらく悩みは中学受験が終わるまで尽きないのでしょう。

五年生になってからの辛さについては、全容を理解できるようになったら、また記載させていただこうかと思います。

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スプリコット
大好きな2人の娘“あっちゃん”と“なっちゃん”と中学受験に挑もうとしている東大卒パパです。娘たちは二人とも、小学校四年生からSAPIXに通い始めることになりました。SAPIXに入塾してからは、親子共々、毎日苦労の連続です。この苦労は、ひょっとしたら同じような境遇の方々の役に立つのでないかと信じて、日々の出来事を書いていこうと思います。