SAPIXに新四年生から入塾するのは難しい、入室テストに合格できるのは “本当に優秀な子”だけだと言われています。しかし、そんなことはありません。偏差値30台の子でもしっかり勉強すれば合格することはできます。
2021年6月、我が家の長女あっちゃんは小学校三年生を対象とした四谷大塚の全国統一小学生テストを受験しました。取ってきた成績は、偏差値30台。
普通に考えると、SAPIX入塾は絶望的と思われるのでないかと思います。しかし、あっちゃんはここから入室テスト対策勉強を開始。その結果、11月の入室テストに見事一発合格できました。
こちらの記事では、偏差値30台の子がSAPIX入室テスト合格のために何をすれば良いのか、何をしてはいけいないのかについて、あっちゃんでの経験を踏まえて紹介します。
- 偏差値30台から脱出するためにまず基礎固めをしましょう
- 次に文章問題に慣れる取り組みをしましょう
- 偏差値30台の子が取り組んではいけない問題集
- 家族で協力して子供が勉強する環境をつくりましょう
- 偏差値30台の子は遅くとも6月からSAPIX入室テスト対策を始めましょう
- 模擬試験を受けて勉強の進捗を確認しましょう
- SAPIX入室テストの仕組みから合格方法を考える
- 最後に偏差値30台を心配しなくて良い理由を解説します
- まとめ
偏差値30台から脱出するためにまず基礎固めをしましょう
理由は後述しますが、偏差値30台の子がまず取り組むべきは基礎固めです。そのために勉強した方が良い問題集を算数と国語のそれぞれについて紹介します。
算数
算数の基礎固めに適した問題集は、くもんの小学ドリルシリーズです。この問題集を通じて、まずは小学校三年生+αまでの四則演算などを正しくこなせる力を身につける必要があります。
以下の5冊に取り組めば、SAPIX新四年生入室テストに必要な基礎の習得は十分だと思います。
- くもんの小学ドリル 3年生 たし算・ひき算
- くもんの小学ドリル 3年生 かけ算
- くもんの小学ドリル 3年生 わり算
- くもんの小学ドリル 3年生 数・りょう・図形
- くもんの小学ドリル 4年生 わり算
国語
国語の基礎固めとは、小学校三年生までに学習する漢字や言葉を正しく使いこなせるようにすることです。
以下の問題集や本を読むと、国語の基礎は習得できるのでないかと思います。なお、言葉の本については、ちびまる子ちゃんのものとドラえもんのものを紹介していますが、お子さんが興味を持つものであればなんでもOKです。
- くもんの小学ドリル 3年生 漢字
- Z会 グレードアップ問題集 小学3年 漢字・言葉
- ことわざの本
- ちびまる子ちゃんのことわざ教室
- ドラえもん 5分でドラ語り ことわざひみつ話
- 慣用句の本
- ちびまる子ちゃんの慣用句教室
- 四字熟語の本
- ドラえもん 5分でドラ語り 四字熟語ひみつ話
- ちびまる子ちゃんの四字熟語教室
次に文章問題に慣れる取り組みをしましょう
基礎的な内容が身につくと、文章問題が解けるようになります。ただ、塾に通っていない子は文章を読んで問題を解くという行為そのものに慣れていません。したがって、その訓練をする必要があります。
ただ、せっかく解くのであれば、良い問題を解くべきだと思います。多くの問題集を子供に解かせてみて、取り組んで良かったと思えた問題集を紹介します。
算数
算数の文章問題に慣れるという点で、Z会 グレードアップ問題集 計算・図形は良問の揃った良い問題集だったと思います。また、SAPIX入室テスト対策という点で最も役立ったのはSAPIXのパワーアップトレーニングでした。
なお、パワーアップトレーニングはSAPIXの校舎でしか販売していないことには要注意です。
- Z会グレードアップ問題集 小学3年 算数 計算・図形
- SAPIXメソッド 算数絶対基礎力の完成 パワーアップトレーニング 3年生
国語
国語の文章問題については、正直市販されているどの問題集に取り組んでも大差ないように思います。ただ、文章を読み、記述する訓練をする必要はあります。その意味で、Z会 グレードアップ問題集 小学3年 読解は役に立ちました。
- Z会 グレードアップ問題集 小学3年 読解
偏差値30台の子が取り組んではいけない問題集
SAPIX入室テスト対策に適した問題集として、最レベやスーパーエリートなどがしばしば挙げられます。ただ、我が家の経験を踏まえると、偏差値30台の子に最レベやスーパーエリートを解かせてはいけません。理由は単純で、解けないからです。
- 最レベ算数問題集小学3年
- スーパーエリート問題集 算数 小学3年
- トップクラス問題集算数小学3年
基礎問題が解けないのに、難しい問題を解けるわけがありません。そして、解けない問題に延々向き合わされると、子供のやる気はなくなります。物事には順番があります。難しい問題に取り組むのは、簡単な問題が解けるようになった後です。子供のレベルに合った問題を解いてもらうのが一番です。
難しい問題を解けないとSAPIXの入室テストに合格できないのでないか?と不安に駆られる気持ちもわかります。しかし、心配ありません。基礎を押さえるだけでSAPIX入室テストには合格できます。現に、あっちゃんはそうして合格しました。
家族で協力して子供が勉強する環境をつくりましょう
問題集を子供に渡すと、子供は子供部屋で一人で静かに勉強してくれる。親としてはそれが理想的ですが、そんな聞き分けの良い子はおそらくほとんどいないと思います。
親がテレビを見ていれば、子供も部屋から出てきて同じ空間で遊び始めるのではないでしょうか。子供は勉強なんてしないで遊んでいたいし、家族みんなと一緒にいたいのだと思います。
ただ、偏差値30台の子は、勉強をしないことにはSAPIX入室テストに合格することはできません。では、どうすれば良いか?
子供が勉強するときは、親も子供の見えるところで遊ぶのはやめることだと思います。家族全員で勉強する雰囲気をつくることが大事です。そうすると子供も、今の時間は勉強しないといけないんだな、となります。
我が家では、夕飯後はお勉強タイムとして、家族四人でダイニングテーブルを取り囲んで静かに時間を過ごしていました。
偏差値30台の子は遅くとも6月からSAPIX入室テスト対策を始めましょう
紹介した問題集をいつから解き始めればSAPIX入室テストに間に合うのか?早ければ早いほど良いに決まっています。ただ、そういうわけにもいかないでしょう。
あっちゃんの経験を踏まえると、偏差値30台の子は、6月の四谷大塚全国統一小学生テストが終わってから勉強を始めるのがギリギリのタイミングだと思います。あっちゃんはそこから勉強を始め、11月の入室テストで入室基準点スレスレのところで合格することができました。
入室テストは一度不合格になっても、2~3回は受験することができます。6月から勉強していれば、一度で合格することができなかったとしても、複数回受験すれば、高い確率で合格することができると思います。
模擬試験を受けて勉強の進捗を確認しましょう
本記事に記した問題集を解いていけば、SAPIX入室テストには高い確率で合格できると思います。ただ、合格するかしないかはあくまで定員をめぐる競争です。親は自分の子の立ち位置を適宜把握しておく必要があると思います。それに役立つのが大手進学塾の行う模擬試験です。
私の把握している範囲では、以下の模擬試験が毎年実施されております。全てを受ける必要はありませんが、2~3カ月に一度くらいのペースで受験し、子供の勉強の進捗に問題がないか確認すると良いと思います。
- 6月 | 四谷大塚 | 全国統一小学生テスト
- 6月 | 日能研 | 日能研全国テスト
- 8月 | 早稲田アカデミー | サマーチャレンジテスト
- 9~10月 | SAPIX | 実力診断サピックスオープン
四谷大塚、日能研、早稲田アカデミーの試験であれば偏差値50、SAPIXの試験であれば偏差値40に到達できれば、SAPIX入室テストに合格できる可能性が高いと考えています。
SAPIX入室テストの仕組みから合格方法を考える
我が家の二人の娘は、それぞれ2021年と2022年にSAPIX新四年生入室テストを受験しました。いずれも300点満点の試験で、2021年の入室基準点は145点、2022年の入室基準点は140点でした。つまり、5割取れれば合格できたということです。
2021年も2022年も、前述してきた算数の基礎的な問題と、国語の漢字や言葉の問題を解けるだけ5割程度の得点をとることができました。また、国語の長文読解問題の半分以上は記号で回答する問題でした。よほど運が悪くない限り、長文読解問題が0点になることはありません。
つまり、基礎的な問題を正解できれば、ほぼ確実に合格できるということです。そして、本記事に記した問題集をこなしていけば、基礎的な問題は正解できるようになります。
最後に偏差値30台を心配しなくて良い理由を解説します
子供の偏差値が30台の理由。そこには大きく二つの理由があると考えています。一つは、文章を読んで問題を解くという行為そのものに慣れていないこと。もう一つは、受験勉強に必要な基礎が身についていないことにあるのでないかと思います。
文章を読んで問題を解く行為は、上記した問題集に取り組めば自然と身につきます。したがって、これに慣れていない点については気にしていただく必要はありません。
受験勉強に必要な基礎とは、算数で言えば三年生までの四則演算、国語で言えば三年生までの漢字や言葉などです。これらが身についていなければ、戦いの土俵にすら上がれないと言われても違和感はないでしょう。
そんな状態で模擬試験を受ければ、偏差値30台をとるのは当然の結果です。周りの受験生は、三年生までに進学塾に通い始め、訓練を積んできた子達だからです。しかし、心配する必要はありません。こちらの記事に記した問題集に取り組めば、数カ月で差は埋まります。
もちろん、偏差値30台の子が、SAPIX新四年生時点で上位クラスから入塾することは容易ではありません。ただ、それも大した問題ではありません。まずは入塾することが大事なのです。
まとめ
偏差値30台の子はどうすればSAPIX新四年生入室テストに合格できるかについて紹介しました。
SAPIX入室テストは基礎的な問題を解ける子であれば合格することができます。そして、基礎的な問題を解けるようになるために取り組む必要のある問題集は、以下のものになります。
- 算数
- 国語
また、偏差値30台の子は、遅くとも6月から勉強に取り組み始めないと、SAPIX新四年生入室テストには間に合わないのでないかと思います。
ただ、問題集を買っただけでは、子供は勉強してくれません。勉強をする環境を親がつくる必要があります。子供が勉強を始めたら、模擬試験を通じて、子供の立ち位置を適宜把握した方が良いと思います。
親がこのような取り組みを進めれば、子供は自然とSAPIX新四年生入室テストに合格できると思います。親にとって、決して楽な方法ではないと思います。ただ、子供はもっと苦しいのです。子供と一緒に親も汗をかかないといけないのだと思います。そうすれば、SAPIX入塾は勝ち取れるのでないかと思います。